下駄の木を染めた記録として記載。
今回は静岡県産ヒノキの無垢材の染色。
布を染める時はの生地の厚さや固さ、大きさなどにもよりますが、
2~3分液に浸ける→同じ時間空気で酸化を繰り返します。
木の場合、今回染色後に少し研磨するとのことで、研磨しても色素の層が無くならない様に
5分~10分液に浸ける→軽く表面を水で流す→5分~10分酸化を繰り返しました。
軽く表面を流すのは、気泡を流すためです。
そのままにしておくと、気泡の痕が残ります。
分数や回数は求める色により異なります。
染液が建ててから時間経過している物だと色が枯れた味わいになります。
今回は鮮やかにしたかったので建ててから比較的若い甕を使用。
勝色の下駄の生地はかなり強い発色の甕で
染色10分を5~6回酸化を同じ回数。ここだけで1足に2時間以上かかります。
浅葱色は平均的な発色の甕で5分染色と酸化。
勝色より楽そうですが、これが一発でむらなく染めるのが難しいのでとても緊張します。
木は浮いてしまうので梅を干す竹の平ざるで抑えて沈めるのですが
空気が入ってしまったり、下駄同志が液の中で重なってしまうとそこだけ色が入りません。
染めた直後は表面に傷が付きやすいので、要注意です。
しっかり乾燥させて色を確認。
その後灰汁抜きをします。
下駄同志が擦ってしまわない様に桶に並べて
60℃程度のお湯をシャワーでかけながら何度も湯を交換します。
染み出てくるお湯の色が透明になるまで途中乾燥させて色を確認しながら
繰り返します。
灰汁抜きだけでも3日間かかります。
その後乾燥させて水鳥工業様へ納品。そちらで研磨・表面を透明な塗装でコーティング。
ゴム底や鼻緒が組み立てられて下駄になります。
木が染めっぱなしだと、色移りするので表面保護の観点からも透明の塗装が必要です。
木を熟知した業者様のお力があっての日常に使える製品が製作できます。
今回は水鳥工業様と関連企業様の高い技術力によって素敵な下駄が仕上がりました。
材質や何を作るのかで注意点や染色方法は変わるかと思います。
注意)あくまで記録なのでこの方法を真似して上手く染められなくても
責任は負いかねます。(スタッフ・I)